見逃さないで!爪の黒い変色に隠されたメッセージ
施術や講座で多くの方の爪を拝見する中でも、特に気になるトラブルのひとつが「爪の黒い変色」です。
同じように見える爪の黒い変色ですが、実はその多くが「出血」によるもので、原因や状態はさまざまです。
放置してしまうと、体全体に悪影響を及ぼすこともあるため、まずはその種類と対処法を正しく知ることが大切です。
爪の黒い変色の正体は「出血」
爪の黒い変色の主な原因となる出血には、大きく分けて2つのタイプがあります。
■ スプリンター出血(線状出血)
爪と爪の下にある皮膚(爪床)の間にできる、ごく小さな出血です。
爪の縦方向に沿って細い線状の出血が見られるのが特徴です。
主な原因
•軽い衝撃や圧迫
•指先の小さな傷や摩擦
注意すべきケース
•稀に、細菌性心内膜炎などの全身疾患で、すべての爪に出ることがあります。
•乾癬やリウマチ性関節炎の影響で、特定の爪だけに現れる場合もあります。
■ 爪下血腫(そうかけっしゅ)
爪が皮膚から浮き上がった隙間に「血の塊(血腫)」ができる状態です。
主な原因
•指を挟む・ぶつけるなどの強い衝撃
•爪の生え際や爪下の皮膚への小さな傷
通常は爪の成長とともに自然に改善しますが、場合によっては数年にわたり黒いまま残ることもあります。
黒い変色が長引くケースに見られる傾向
施術の現場では、単なる外傷による出血にとどまらず、次のような状態を併発しているケースも多く見られます。
•真菌感染(水虫など)による爪の異常な角質化
•角質化が進んだ爪が衝撃で割れたり裂けたりしている状態
このような場合、健康な爪が根元から再生するまでには長期間の施術が必要です。
それでも、正しい方法でケアを続ければ、必ず正常な色へと回復していきます。
なぜ放置してはいけないのか
爪は自力で回復できない組織です。
出血や変色を放置してしまうと、見た目だけでなく爪の機能が衰え体全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
爪は単なる“飾り”ではなく、
•指先を守る
•歩行時や立位時のバランスを支える
といった重要な役割を担っています。
そのため、爪の異常を放置して爪本来の機能が低下すると、指・足・脚の変形を引き起こし、最終的には姿勢や歩行バランスにも悪影響を及ぼすことがあります。
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✳︎命に関わるケースもーメラノーマ(悪性黒色腫)
爪の黒い変色の中には、稀にメラノーマ(悪性黒色腫)という命に関わる病気が隠れていることもあります。
以下のような症状がある場合は、すぐに皮膚科を受診してください。
受診を急ぐべきサイン
•黒い縦線が徐々に太く広がっている
•爪のまわりの皮膚まで色素が広がっている
•ぶつけた記憶がないのに黒くなっている
爪の黒い変色を見つけたら、
「そのうち治るだろう」と自己判断して放置するのは大変危険です。
ご自身の爪の状態を正しく把握し、将来的なトラブルを防ぐためには、専門家によるチェックが不可欠です。
まずは一度、「爪検診」で現在の健康状態と潜在的なリスクを評価しましょう。
正しい知識と適切なケアを取り入れることで、爪へのダメージを最小限に抑え、爪の機能と健康を早く取り戻すことができます。


